レポート『自治体の「先進的」環境政策の現状〜環境モデル都市への応募内容から〜』


環境自治体会議環境政策研究所/国府田諭 (2008.11)



 

環境モデル都市とは?

 2008年4月11日から5月21日にかけ、国の内閣官房地域活性化統合事務局では「環境モデル都市」の募集を行ないました。これは、先進的な環境政策をこれから実行しようとする自治体を募り、その政策が環境モデル都市にふさわしいと認められれば、国が予算等での支援を行なうというものです。募集の結果、合計82件の応募がありました(単独の自治体が79、複数の自治体の共同によるものが3)。
 募集期間中には、環境自治体会議環境政策研究所にも、会員自治体を含む多くの自治体から相談や問い合わせが寄せられました。その中心は、これまで『環境自治体白書』や環境自治体会議ウェブサイトで公表してきた温室効果ガスの排出量推計に関するものです。実際にそれらの数値を利用して応募した自治体も10ヶ所程度あります。
 募集の結果は、7月22日に発表されました。そこでは6つの市町が環境モデル都市に、また7つの市区町が「環境モデル候補都市」(今後の推移によっては環境モデル都市に格上げされるもの)に選定されています。会員自治体では熊本県水俣市が環境モデル都市に、また長野県飯田市が環境モデル候補都市となりました。
 

今回作成したレポートは…

 環境モデル都市の募集にあたっては、「選定の視点・基準」として5つの要件が提示されています。簡単にまとめると、1)温室効果ガスの大幅な削減目標を持つ、2)先進的・モデル的な政策を行なう、3)地域に適応した政策を行なう、4)政策の実現可能性が高い、5)政策の持続性が高い、です。このうち1)については、「2050年に温室効果ガスを半減する」など中長期の削減目標をもつことが推奨されています。
 この応募要件は、現時点では多くの自治体にとって高いハードルではないかと思われます。その中で今後の方針・計画を作成して応募した各自治体の環境政策とはどのようなものでしょうか?
 またこれを整理することによって、今後の自治体環境政策を考える上で参考になる点があるのではないでしょうか?
 このような観点から、今回、環境政策研究所では環境モデル都市への全82件の応募内容の基礎的な整理と検討を行ない、レポートにまとめました。
 全体でA4判20頁の簡単なものですが、全ての応募内容について、温室効果ガス排出削減目標の具体的内容を調べ、またそのための政策手法を詳しく分類して整理・集計しています。政策手法は17の大分類、94の小分類に分けています。図1は、大分類別にどの政策手法が応募にあたって取り入れられているかを集計したものです。
 もとより、環境モデル都市への応募自治体以外にも環境政策に積極的な自治体は多く存在します。しかし今回の82件の応募内容を改めて俯瞰すると、現時点で多くの自治体が「先進的」と考える環境政策の全体像が浮かび上がってきます。


 

中長期の温室効果ガス削減に向けて

 前述した募集要件の1)にそって、環境モデル都市に応募した全82件のうちのほとんどが、中長期の温室効果ガス排出削減に向けた意欲的な目標を掲げています。応募した自治体の人口を合計すると3,000万人を超え、国内総人口の約4分の1です。人口は一つの指標に過ぎませんが、日本の少なくない地域が、中長期の温室効果ガス削減に向けて動き出したと言ってよいでしょう。このことを数字で確認できるレポートでもあります。
 また今回の各自治体の応募内容が、一過性の宣言や国からの支援を得るためだけの作文に終わってしまっては勿体ないことです。応募内容を字句どおり実行するかどうかは別として、各自治体がそれなりに根拠や確信をもって作り上げた方針・計画であれば、引き続き実現にむけて努力されることが望まれます。
 このような点も含め、今後は環境モデル都市への応募内容をさらに詳しく検討し、個々の自治体・地域に即した先進的環境政策について示唆を得ることが重要です。その作業については、本レポートとは別に、環境自治体会議環境政策研究所が今年度から開始した研究プロジェクト「地域特性に応じた脱温暖化社会づくりのための政策パッケージの提案」(三井物産環境基金助成)の中で現在進めています。



(以上)