内子町エコドライブの取組み


環境自治体会議 環境政策研究所 上岡直見 (2007.11)

 この記事は第15回環境自治体会議・うちこ会議第6分科会(2007年5月開催)で、内子町からの報告内容をもとに構成したものです。

 

1. 内子町エコドライブ活動

 これまで提唱されているエコドライブは、車両の走行に寄与しないにもかかわらずエンジンが動作している比率の多い、すなわち信号や渋滞の多い都市部で効果が大きいとされている一方で、農山村部での組織的な実測例は知られていない。しかし農山村部ほど移動の自動車依存度が大きいので、エコドライブの効果があれば全国に拡大することによる量的な効果が期待できる。
 そこで、環境自治体会議の大会を契機に、内子町役場職員の協力を得て、表1のような経緯で約2か月間データを採取した。高度なエコドライブよりも、最小限の負担で実施できる活動を前提として、どのくらい効果が挙がるかの目安として利用できると考えられる。

 

2. 自動車燃費の理論

 移動という行為は、ある抵抗に打ち勝って物体を動かすことであり、その抵抗に釣り合うエネルギー消費が走行エネルギー、すなわち燃料消費となる。陸上交通機関の場合、抵抗は式(1)の要素から成る。それぞれの要素を構成する因子を抽出して整理すると、抵抗の理論式は次の式(2)で示される。式中の因子の意味を表2に示す。


である。式(2)より、空気抵抗以外の抵抗は車両総重量(車両+積荷)に比例することが示される。よく言われる「エコドライブ」の要因として、「無駄な荷物を積まない」は@に、「適正なタイヤの空気圧」はBに、「急発進の回避」はEに、「不要なルーフコンテナの撤去」はGとHに、「適正な速度(経済速度)」はIにかかわる内容である。
 

3. エコドライブ講習の実際

 エコドライブ講習・実習はJAFの愛媛県支部に依頼し、JAFのユーザーサービスの範囲内(交通費程度を負担)で実施してもらった。講義45分、実習1時間程度。JAFとしても、今回のように講習の上、実測データを採取した経験はなかったとのことである。講師の使用車はトヨタカローラ(AT)に瞬間流量計を装着したもので、フューエルカット機能などを見ることができる。最初、数人ずつこれに同乗して講師の模範運転を見学する。その後、各自の車に講師が同乗し指導を行った。

 実習は公道で実施できないので、庁舎下の河川敷で実施した。しかし路面が不整地のため「惰力走行やクリーピングが舗装道路のように再現できない」「模範運転の際に車が揺れて計器をよく見ることができない」など問題があった。

 JAFではテストコースで実施するのが望ましいということであるが、そのために遠方まで出かけて講習を受ける企画では参加者が限定される。職場近くで実施できるグランド、広い駐車場等で実施したほうが、実習の質が多少下がっても全体として普及効果が大きいのではないか。

 用語の定義としては疑問があるが、JAF講師は「エコドライブと省エネ運転はちがう。省エネ運転は推奨しない」と説明していた。講師のいう「省エネ運転」とは、エンジン回転数を1500rpm以下に抑えたり、緩慢な加速を行うなどの操作であるが、これらは道路交通の円滑を乱す「迷惑運転」であり推奨しないとしている。また信号待ちでの手動操作によるエンジン停止はJAFでは推奨していない。これはエアバッグ起動不能、方向指示器消灯などの問題からである。

 本実験で採用した「エコドライブ」とは、@エンジン回転数を2000rpm以下にすること、A クリーピング(AT車)を利用して起動抵抗を緩和した後、発進加速に移るなど緩慢なアクセルの2点だけであるが、これでも効果が期待できる。
 

4. エコドライブ活動の結果

 今回実験の範囲では、小型乗用車で8〜13%、その他で0〜2%の燃費向上がみられた。詳細を表3に示す。なお国土交通省『自動車輸送統計年報』 (H17)の四国運輸局平均燃費では、登録自家用乗用車の平均燃費は9.4km/Lである。

 講習(座学)だけでは効果が乏しく、実習に意義があったと思われる。厳密なエコドライブよりも最小限の負担で実施できる活動を前提としたこと、講習・実習も1時間半程度の負担で、職場あるいはその近辺で実施できることから、地方運輸支局等を通じて展開できるのではないか。

 今回、信号待ち等によるエンジン停止を行っていないので、燃費改善効果は、式(1)(2)で示すように車両の力学的特性によるものである。小型乗用車では効果が大きかったが、普通乗用車および軽自動車で効果が少なかった。

 軽自動車では、車重に対して転がり抵抗が大きいので、効果が乏しかったとも考えられる。普通乗用車で効果が乏しい理由は不明である。いずれにしてもサンプル数が少ないので断定できない。今後、燃料種別・車種別・装備別(MT/AT、エアコン)のデータを蓄積する必要がある。

 いずれにしてもドライバーの意識によるエコドライブのみでは、安全上・燃費向上効果とも制約があるので、最終的には自動的なエコドライブ支援装置の導入が必要であろう。(現在、一部の車種では新車で自動エコドライブ仕様がある。)。


 

5. まとめ

 従来データが得られていなかった農山村部での組織的な実測を行った。今回は役場職員のみの参加で、サンプル数が少なかったが、今後、各地の会員自治体で住民も含めて展開し、データを蓄積すれば、全国的にも重要な情報が得られるであろう。



(以上)