数字でみる愛媛県の交通と環境


環境自治体会議 環境政策研究所 上岡直見 (2007.4)

 環境自治体会議うちこ会議(2007年5月開催)に関連して、本稿では愛媛県の交通と環境を概観する。

 

1. 概要

 2004年の府県間旅客流動調査(*1)によると、愛媛県内を起点あるいは終点とする人の流動量は、約15億8000万人であるが、図1に示すように、大部分の15億1000万人は県内の移動である。さらに県外についても、その8割が四国内であることから、愛媛県に関連する人の流動は、ほとんどが県内または隣接の四国内で行われている。その手段について、鉄道・バス・タクシー・自家用車・船舶航空という分類でみると、図2に示すように、ほとんどが自家用車で占められている。

 

2.自動車依存の拡大

 図3〜4は、全国都市パーソントリップ調査(*2)から、今治市と新居浜市の交通手段分担率を示す。この調査は5〜7年おきに行われているが、1987年から1999年までのわずか10年余の期間だけでも、自動車の分担率が20%も増えて、その分だけ徒歩と二輪車(ここでは自転車+バイク)が減っている様子が示されている。もともと愛媛県は、温暖な気候、比較的雨が少ないなどの事情から、自転車の分担率が高い地域であるが、それでも自動車に押されている。また鉄道・バス等の公共交通は、以前より風前の灯といった状態である。

 

3.自動車からのCO2排出

 図5は、1999年における車種別のCO2排出量の内訳を求めたものである(*3)。乗用車(軽含む)とバス、すなわち旅客の移動による分と、貨物による分が、おおむね50%ずつになっている。この傾向は、全国平均と比較して異なっている。全国の平均では、この比率が旅客60%、貨物40%程度になるが、愛媛県では貨物車の割合が平均より多い。新居浜等の工業地帯の影響とも考えられるが、理由は明確ではない。旅客の中では、乗用車(軽四輪含む)がほとんどを占める。

 

4.自動車からのCO2排出の推移と予測

 京都議定書の目標達成の観点からは、現状の排出量だけでなく、1990年の基準値、2010年における予測値が必要である。図6は同じく車種別のCO2排出量について、1990年・1999年・2010年(予測)の比較を示したものである(*4)。図3,4に示すように自動車への依存の拡大を反映して、1990年から1999年の間の増加が大きい。貨物車からのCO2排出量はおおむね一定値であるが、乗用車からの排出が増加している。また軽四輪の増加は、省エネ意識の進展というよりも、むしろ「1人1台化」の傾向を示すものである。
 

5.交通事故の状況

 図7は、県内の交通事故件数の類型別の経年的な推移を示す(*5)。ほとんど同じ件数が同じパターンで続き、改善の傾向がない。交通事故は環境問題ではないが、自動車に依存した交通体系という面で、共通の要素が考えられる。単に各人の心がけで変えられる問題ではない。自治体でも、交通事故防止のキャンペーンは常に行っているが、目立った効果はみられないようである。このことから逆に、環境対策として自動車への依存を軽減する交通政策を実施すれば、同時に交通事故の防止にも効果が大きいと考えられる。

 

6.まとめ

 このような現状に対して、どのような対策を講じてゆけば良いのだろうか。これ一つで即効が期待できるというような施策は存在しない。市町村単位で、地域の特性に応じて、多面的な対策を積み重ねる必要がある。様々な施策メニューのの立案と、それによる数量的な評価について、うちこ会議に合わせて刊行される『環境自治体白書 2007』に解説されているので、参照していただきたい。なお環境自治体会議環境政策研究所では、随時相談を受け付けている。



(注)
*1:国土交通省総合政策局「府県相互間旅客輸送人員表」2004年版。
*2:国土交通省都市地域整備局・国土技術政策総合研究所『H11年全国都市パーソントリップ調査』基礎集計編。
*3:松橋啓介・工藤祐樹・上岡直見・森口祐一「市区町村の運輸部門のCO2排出量の推計手法に関する比較研究」『環境システム研究論文集』vol.32, 2004年, p.235。
*4:環境自治体会議環境政策研究所『環境自治体白書 2005』より。
*5:警察庁・国土交通省「交通安全マップ」ホームページ http://itdb.kotsu-anzen.jp/index.htmlより。
(以上)