大阪府池田市における庁舎ESCO事業の取り組み

環境自治体会議 環境政策研究所 中口毅博

 自治体における温暖化対策の取り組みとして,豊能府民センター等大阪府機関と池田市役所の合同庁舎における民間資金活用型ESCO事業について紹介する。
 池田市は大阪府北部に位置する人口約10万人の中規模都市であり,大阪の中心から電車で約20分の距離に位置する。2002年度に省エネルギービジョンの事業化フィージビリティ調査を行い,ESCO事業の対象施設をこの合同庁舎に絞った。合同庁舎は7階建て,延床面積は約21,000m2で,約750人の職員がこの庁舎で勤務している。

 

ESCO事業の取り組み〜経過と費用

 2003年3月にESCO事業の提案を募集したところ,9グループ(16社)からの提案があり,トップの評価を得たO社が省エネ改修を実施することになった。省エネ改修にかかる費用は7,450万円と見積もられたが,これはESCO事業者の負担となる(補助金が出るため,O社が実際に負担する額は5,900万円であった)。そして池田市は2004年度末から12年間にわたりO社に省エネルギーサービス料を支払っていく。省エネルギーサービス料は年862万円,総額1億350万円である。この費用は債務負担行為として2003年3月の議会で議決を得た。
 一方2000〜2002年度の光熱水費は平均で年5,778万円かかっており,さらに冷暖房用熱源機器の維持管理費用230万円を加えると5,998万円かかっていたことになる。もし予定通り省エネが実現すると年間4,305万円で済むので,5,998万−4,305万=1,693万の削減になる。この削減額1,693万の中から省エネルギーサービス料862万円を支払っても1,693万−862万=831万円の利益が出ることになる。さらに現在の冷暖房用熱源機器は1972年に入れたもので,とっくに耐用年数を過ぎており,だましだまし使っている状態だったので,それを自費で新品に変えた場合の費用として年559万円を上乗せして考えれば,831万+559万=1,390万円/年が浮く計算になる。このように約1,400万の利益が出て,熱源機器も更新され,しかもCO2も3割減らせるのだから,このECSO事業は池田市にとって一石三鳥の方法だったといえる(図1)。
 2003年度途中から実際に導入され設備は図2の通りである。
 冷暖房のためのガス吸収式冷温水発生機は地下の機械室にあり,従来使っていた2台がともに新しくなった(写真1)。旧来のものは一回り大きかったそうだ。これは池田市のものでなくESCO事業者の所有物である。補助金ももらっているので,そのシールも貼ってある(写真2)。庁舎各階の温度を中央監視室で見ながら,この2台を稼動させる。2004年度は夏が猛暑だったにも関わらず,ガス使用量が2割近く減った。また,排気ファンや冷温水を送るためのポンプもインバータ制御とし(写真3),電力の削減になった。また、各階の蛍光灯には余分な電流をカットするための安定器がつけられた(写真4)。これもESCO事業者の所有物である。蛍光灯は最初の1本はESCO事業者がつけてくれるが,交換は府・市の費用で行う。4階から7階には,調光器という明るさを感知する器具が取り付けられており,これをもとに照明の明るさを自動的に調節してくれるそうである(写真5)。
 これらの改良とともに昼休み消灯などのソフト的な努力により,電力消費量は1割以上削減された。
 水道もESCO事業で改修されたもののひとつである。トイレのセンサー式洗浄装置や厨房の節水コマ設置などにより水道使用量が3割削減された(写真6)。
 また市民への普及啓発用機器もESCO事業の一環で設置された。省エネ状況を示すモニターや正面玄関前にある太陽光発電装置や風力発電装置がそれである(写真7)。自治体関係者,小中学校の視察の際には活用されているようだがもっとPR活動に努めたいとのことであった。
 冷暖房の利き具合が場所によって異なるのはいかんともし難いらしく,市民からは暑いという投書があったりするそうだ。職員からは特に苦情はないが,ESCO事業をやれば,部屋が明るくなると誤解している人もいたそうだ。今までの職場環境を変えずに省エネになるのがESCO事業の特徴であるが,池田市役所ではソフト的な努力もあわせて行った成果として,ほぼ予定通りの実績をあげたものと考えられる。

図1 ESCO事業の収支予想
出典:大阪府ホームページhttp://www.pref.osaka.jp/koken/setsubi/ESCO/ikeda/IKEDA.HTM