●環境政策を進める自治体会員の関心はどこにあるのか?●
〜「環境自治体白書」作成に向けたアンケート結果と共通目標調査の進捗状況

 環境自治体会議では毎年、会員自治体の環境政策の進捗状況や、共通目標達成に向けた動きを分析・評価するために、「共通目標調査」を実施し、その結果を「環境自治体会議 年次報告書」として刊行・公表してきました。現在、これまでの年次報告書を大幅にリニューアルするかたちで、「2004年度 環境自治体白書(仮題)」の刊行をめざし、作業を進めております。
 新たな「環境自治体白書」では、会員自治体の政策動向に加え、全国の自治体における政策事例を、取材もまじえリポートしていくほか、政策をめぐる法制度上の課題や、計画を策定する上でのワンポイントアドバイスなど、環境自治体づくりに実践的に役立つ内容にすることをめざします。編集にあたって、自治体担当者の皆さまのご意見も伺いながら進めていくために、このたび簡易アンケートを実施しました。
 アンケート結果からは、会員自治体のみならず全国の自治体で共通して直面している課題・悩みも垣間見えますので、結果を簡単に紹介します。(回答自治体数39)

 はじめの質問は、各自治体において関心のあるテーマです。白書に掲載を予定している12テーマについて(図1を参照)、会員自治体の関心度を確認しました。これは自治体の一般的な関心を示しています。

 最も多いのは「ごみ・物質循環政策」で34自治体(回答自治体の87%)となっており、逆に少ないのは「地域交通政策(6自治体)」「有害物質対策(5)」などです。もちろん、全体の関心が薄いとはいっても、個々の自治体にとってみれば、交通弱者の存在、有害物質で汚染された土地・被害などの緊急課題に直面しているところもあり、重要な政策テーマであることには変わりありません。
 次に、同じ12テーマについて、会員自治体の重点政策をききました。
 はじめの設問と同様に「ごみ・物質循環政策」への取り組みが積極的になされています。次いで「環境マネジメント」が15自治体になっています。詳しくは図2及び表1をご参照ください。


 最後に、そうした政策推進に当たっての課題・悩みをまとめます。

 一つ目は、環境政策の特性に関する悩みです。環境政策の範囲は広く、かつ市民や事業者の協力・行動が不可欠なため、「できることからと思っていても、どれから手を付けてよいかわからない」「環境問題を自らの現在と将来に関わる問題と捉える市民、事業者がまだまだ少ない」「知識だけでなく行動する人、をいかに増やしていくか」などの記入がありました。また、「全庁的取り組みができない。理解が得られない。特に財政サイドの理解が得られない」といった役所内部の合意形成も課題として挙げられました。

 二つ目は、市民や事業者への自治体からの働きかけです。「市役所等の公共施設で実施する節電運動を市内全域の市民へ波及させるべく、各種事業・イベントをスタートしたが、その波及速度が緩やか」「環境ISO14001の自己宣言を監査する組織に市民が参加しているが、その市民監査の維持運営をどうするか」「自治体がどのような方策を打てば、市民・事業者等の温暖化防止行動へのムーヴメントを起こせるのか」「小規模事業所に対する環境マネジメントシステムの普及啓発」「環境と経済を融合させるため、エコ事業所の誘致に苦慮している」「排出事業者の生ごみリサイクルへの理解(生ごみ分別・水切りの手間。処理手数料負担)、生ごみ排出が少量の個人飲食店等小規模事業所の生ごみリサイクルへの理解、参加)」など、政策展開の際の障壁となっている例が多々みられます。

 三つ目は、技術的な課題です。「生ごみ、家畜排せつ物、剪定くずなどの資源化・適正処理」「メタン発酵施設から発生する液肥の施肥技術やシステムの確立に苦労している」「省エネなどの事業において、成果を充分に表すことのできる指標がない」などがありました。

 四つ目は、コスト面の問題です。各種環境施設の建設費用、維持管理費用の問題に加え、廃棄物処理施設の補助金交付の制限、不法投棄者の特定やその後の処理、離島における再資源化経費(海上輸送料)など具体的な課題が提起されています。

 最後に、これらの課題を乗り越えるために、「法令の整備や国レベル(世界レベル)での社会経済(産業)構造の変革により、大きな前進をみるものと思われる課題もあるので、国レベルでの制度や仕組みなどの改革にむけ、自治体の活動からどのように働きかけをしていくか」という提起もなされました。
 これらの課題に対応していくことも念頭に、「環境自治体白書」作成を進めてまいります。

(文責:事務局 増原直樹)