ISO14001規格改正!ちょっと待て!移行するのが有効か?


 ISO14001規格改正版が2004年11月15日に発行され、ISOを認証取得している自治体は、来年5月までに新規格に移行する必要が出てきた。新規格に自治体はどう対応しなければならないのか。新規格に移行することが本当に有効か、考えてみたい。


 

◆エコオフィスだけではダメ。環境政策全体のレビューが必要になった


 今回の新規格では、これまで環境方針のところで「組織の活動、製品またはサービスの性質、規模及び環境影響に対して適切である」となっていたのが「組織の活動、製品及びサービスの性質、規模及び環境影響に対して適切である」と変更になりました。旧規格ではサービス、つまり自治体にとって政策をはずしても良いとの誤解を生じやすいのに対し、これを含まなければならないことを明確化したといえます。
 また、環境側面のところで「組織が管理でき、かつ影響を生じると思われる活動・・・」が「組織が管理できる環境側面及び組織が影響を及ぼすことができる環境側面」と書き改められました。自治体にとって影響を及ぼすことができる範囲とは、行政域全体です。つまり、庁舎内の紙・ごみ・エネルギーの抑制だけでなく、地域全体を保全・改善するための政策まで、環境影響評価の範囲に含めなければならなくなったといえます。


 

◆煩雑な環境側面抽出作業がより複雑に?


 規格の利用の手引きである「付属書A」では、環境側面に関する記述が大幅に追加されています。環境側面抽出の方法は「矛盾のない一貫した結果を出すものであり、利害関係者の関心事に関係するような評価基準の確立および適用を含むもの」とされています。自治体の利害関係者とは地域住民のことであり、その関心事とは地域環境の改善から地球環境問題まで幅広い範囲を指しています。難しい評価式で足したり引いたりする作業がいっそう広範囲になり、担当者は膨大な労力を費やすことになるかもしれません。

 

◆地域住民のニーズ把握が不可欠になる?


 付属書Aでは法的その他の要求事項の「組織が同意するその他の要求事項」の事例が追加され、3項目から9項目になりました。その中には「顧客との合意」という記述があります。自治体の顧客は地域住民です。地域住民のニーズを把握することが不可欠になった、と読むこともできます。これはあたりまえのことですが、今までほとんどの自治体が内部だけで環境マネジメントシステムの目的・目標を決め、実行してきました。今後はそうした目的・目標に、住民の意見を反映させる必要があるといえます。

 

◆今こそ市民監査方式やLAS-Eの検討を


 ISO14001の規格改正は、環境マネジメントシステムの中に「自治体の本務」を組み入れることを要求するものであり、うまく使えば環境自治体としての熟度を高めるために有効に働くでしょう。
 しかしちょっと待って下さい。この前更新したばかりなのに、また審査機関に高い費用を払わなくてはならないだけの効果が、ISO認証取得によって得られてきたでしょうか?ISO認証取得によって地域住民や企業が変わったでしょうか。職員が「毎年やってくる期末試験」に合格するのがうまくなっただけではないでしょうか?
 本来自治体を審査すべきは審査機関ではなく、地域住民であるはずです。あわてて新規格へと移行するよりも、水俣市の自己監査や、飯田市・多治見市の相互監査システムなど、多様に進化をとげつつある自治体環境マネジメントなどから、自分たちの自治体に必要な監査とはどういうものか、改めてじっくりと考えてみるチャンスではないでしょうか。
 環境自治体会議で開発をすすめ、すでに二ツ井町、八幡市、綾町などで実践されているLAS−E(環境自治体スタンダード)は、市民による監査と目標設定を必須としている点、環境への取り組みを地域全体に波及させるためのしくみづくりを促す点に、規格の特徴があります。第1ステージではエコオフィス、第2ステージでは環境政策、第3ステージでは持続可能な地域づくり政策が求められ、費用対効果でも、他のマネジメント規格に優れています。
 これを機に、LAS−E規格に沿った独自の環境マネジメントシステムに移行することで、環境自治体としてのレベルアップを図ってみてはいかがでしょうか。