寄稿:自治体は農薬散布を減らして下さい!(その2)


 反農薬東京グループ 辻 万千子

( 先に自治体の農薬散布見直しに関する記事をご紹介しましたが、そこで触れることのできなかった情報について補足する記事を、反農薬東京グループの辻さんよりご寄稿いただきました。反農薬東京グループは、わたしたちの身の回りで使われている、農薬をはじめとする化学物質の濫用に対し、その問題点を指摘してきた市民グループです。「市町村議員さんなど、自治体運営に携わる多くの方々に、この記事を読んで行動していただきたい」とのメッセージがこめられています。)

◆住宅地への農薬散布に対し、省庁がガイドラインを通知

 自治体が委託者になって管理する施設の樹木や街路樹などに、農薬散布をする場面が多くあります。以前から健康被害を訴える声が強く、それを受けて、昨年9月に、農水省消費安全局長は「住宅地等における農薬散布について」という通知を出しました。この通知は文科省、厚労省、国土交通省、環境省など農薬散布を行う可能性のある省庁からも出されています。
 
 http://www.maff.go.jp/www/press/cont/20030916press_2.htm
 (平成15年9月16日発表資料/農林水産省「住宅地等における農薬使用について」)
 
 主なポイントは、学校や保育園、病院、住宅地近くの公園など、公共施設の植物や街路樹に対しては(1)定期的に農薬を散布することを廃止する、(2)被害が起きた場合は、枝切りや害虫の捕殺に努める――と、できるだけ農薬以外の方法で対策を講じるよう求めている点で、従来より踏み込んだ内容になっています。
 やむをえず、農薬散布をする場合でも委託者の行うべきこととして、
 @誘殺、塗布など散布以外の方法を検討する
 A散布する場合でも、最小限の区域に留める
 B近隣に影響の少ない時間帯を選ぶ
 C事前に周辺住民に周知する(関係者以外立ち入らないようにする、学校や子どもの保護者に周知、適用病害虫・適用作物・希釈倍率を守るなども含まれる)
 D記録を残す、などがあげられています。

◆周知徹底が大きな課題

 この通知を遵守すれば、自治体が委託する農薬散布は劇的に減少するはずですが、残念なことに、この1年の経験では、市町村レベルではほとんど守られていないことがわかりました。各省庁から通知が出ているといっても、実際には末端まで周知されておらず、この通知の存在すら知らない市町村が多いというのが現実のようです。
 また、たとえ農林関係課が通知を知っていても、公園、街路樹の担当課である公園課や道路課にまで情報が届いていないというケースもあります。加えてそうした担当課も散布内容を業者任せにしている場合が多く、散布内容についてきっちり監督しているわけではありません。

◆求められる行政の委託者責任

 たとえば、浜松市では市民団体が情報公開を駆使して調査したところ、街路樹の農薬散布で28件も違反がありました。県から指導を受けて市はそのうちの7件についてだけ、今後農薬散布はしないとしましたが、後の21件を改善しない理由はわかりません。
 また、山形市では、市が補助金を出している事業で、街路樹のアメリカシロヒトリに適用のある農薬を庭木などにも使用するなど、適用外使用が問題になりました。周辺住民に周知しないところも多く、前橋市の松枯れ対策の農薬散布では健康被害が多く出て、問題になりました。
 一方で、本誌前号で紹介されたように世田谷区の学校では初期防除で劇的に農薬散布を減らしているところもあります。
  環境自治体会議に参加している自治体は、是非とも、この通知を遵守して委託者責任を果たしてもらいたいと思います。まず、自治体が通知を守りながら、民間の農薬散布にも影響を及ぼして頂きたいと切に願います。

 (反農薬東京グループ:TEL 0424-63-3027)