京都・大阪府内の会員自治体における注目取り組み

 昨年11月27日、京都府八幡市内で、環境自治体会議政策地域連絡会(京都・大阪)を開催しました。連絡会での各首長からの報告を基に、他の地域でも参考になると思われる取り組みを抜粋し、ご紹介します。
 (文責:環境自治体会議事務局 多比良)
 政策地域連絡会 in やわた
 参加首長:
 一色 貞輝(大阪府豊中市長)
 中司 宏(大阪府枚方市長)
 岸上 吉治(京都府八木町長)
 牟礼 勝弥(京都府八幡市長)
 進行:
 中口毅博(環境自治体会議環境政策研究所所長)

協働による計画の具体化と進行管理―豊中市

 豊中市では、1995年に制定された環境基本条例への市民意見の反映をきっかけとして、翌年、市民・事業者・行政からなる市民環境会議が発足。その中から生まれた活動が盛んに続いている様子が報告された。
 行政サイドの環境基本計画と同時並行で、市民が生活・産業・交通・自然の4分野101項目にわたるアジェンダ21を策定。その内容をさらに具体化させる活動として、現在、放置自転車をリサイクルし、駅前でレンタサイクルにする実験などを展開しており、行政も支援している。
 4年半ほど前に生協と職員組合、市民などから始まった生ごみの堆肥化もいまはアジェンダの一環になっている。行政も、5000万円かけて、空港の緩衝緑地に「みどりと食品のリサイクルプラザ」という堆肥化施設を設置し支援した。毎日1トン程度出る学校給食の残渣や野菜くずに、公園や街路樹の剪定枝を1:1.25の割合で加え、堆肥化している。約90日間の自然発酵方式で、毎日約1トンの堆肥が生産できる。この堆肥の質が良く、市内農家が積極的に利用しており、使い切れている。
 また、環境基本計画の進行管理の特徴として、毎年、最終の年次報告書ができる前に、中間報告を市民に公表し、その意見をとり入れ、まとめるという形式がとられている。そこでは市民や事業者だけでなく、行政の環境以外のセクションも参加し、互いに評価することも行われている。

ごみ半減をめざし、環境・エネルギー政策が始動――枚方市

 枚方市では、新しい清掃工場建設をきっかけに環境政策に重点が置かれ始めた。単に処理工場を造るということではなく、地域全体で痛みを分かち合わなければならないというねらいから、まず「ごみ半減化」という目標が掲げられた。半減化達成には、多数の市民の協力が必要なため、一人一人が環境意識を高められるような試みが打ち出されている。
 その一つの柱がエネルギー政策で、現在、地域新エネルギービジョンが策定中となっている(詳細は本ニュース6ページ以降を参照)。
 今後の課題として、ごみの削減を見越し当初の計画よりもさらに清掃工場の規模を縮小したため、燃やすごみを減らすと同時にバイオマスエネルギー利用が生ごみ処理と連動できないかが挙げられている。
 中司市長からは「新エネルギーの普及に向けたさらなる推進をきっかけに、これから新エネルギーのまちと呼ばれるようにしていきたい。そのためには市民と事業者、行政が一体となった取り組みを進めていかなければならない」という決意が述べられた。
 また、自然と都市とが共存する可能性をもつ地域として、里山保全基金の創設や里山保全計画の策定、ワンド・ビオトープの再生などについても紹介された。

バイオガス利活用と「ほんまもん」の農業―八木町

 八木町では、98年から稼動したバイオエコロジーセンターを中心にした全国初のバイオガス利用の取り組みで、注目されている。
 ここでは、糞尿が年間19000〜20000トン、産業廃棄物が650トン、町内の豆腐工場から出されるおから1190トン、廃牛乳2471トンが処理されている。おからと牛乳は廃棄の際に費用がかかり、バイオガス発生量も多いため、センターで処理することは経済効率的にみても、エネルギー資源としてみても大変有効である。1日あたりの発電量は3000〜3300kwhとなっている。
 家畜の糞尿を圧縮、液状化する過程で発生するバイオガスはエネルギーとして利用され、絞りかすは堆肥として販売される。堆肥は農地に還元され、農産物の一部は家畜に食べさせるという循環利用が目指されている。
 特に町で意識されているのは、「ほんまもん(本物)の農家をつくること」だと岸上町長は語る。八木町の米は、米処の秋田から視察に来た首長からも、光沢といい味といい非常に評判が良かったという。バイオエコロジーセンターの液肥・堆肥を使った「ほんまもん」の循環型社会構築がめざされている。

ISOに頼らない政策スタンダード〜LAS-Eの取り組み――八幡市

 八幡市内には45の自治組織が連合会をつくるとともに、「自助・共助・公助」を理念とした活動を展開しながら、ごみの減量化、不法投棄防止、分別収集等へ協力してきた。これに対し、市はごみ袋の透明化や粗大ごみの有料化を手がけた。
 市議会ではISO取得についての議論もあったが、取得・維持にコストをかけず、市民や事業者と一体になって環境問題に取り組めるシステムを導入したいということで、環境自治体スタンダード(LAS-E)に基づく、独自の八幡市環境マネジメントシステムを構築した。
 このシステムでは、市独自の取り組み以外に他の自治体との比較ができる共通の取り組み項目がある点、また、システムの構築から監査まで市民参加が必須であるのが特徴で、「これにより職員の意識改革がさらに進む点に魅力を感じた」と牟礼市長は導入の動機を語った。
 また、環境基本計画の実現を目指すための組織として、昨年8月にパートナーシップ型組織である八幡市環境市民ネットが発足。環境に関する情報や八幡市の状況を学習し、様々な提言を行い、具体的な活動を展開している。例えば、交流拠点を結ぶ無料のレンタサイクルが、バス路線や駐車場などの面で不便なところに設置された。料金体系は、預かり金制にすることによりより、ある拠点で借りた自転車を別の拠点で返すことが可能となり、実質無料で乗り捨てもできる便利なレンタサイクルシステムが実現した。市内観光や日常生活での移動に役立ててもらおうとしている。
 今後の課題としては、河川や水を利用したまちづくりやエコカーの導入が挙げられた。

ESCO事業で府市合同庁舎を省エネ型に――池田市

 環境基本計画の実効性を確保する目的でつくられた、地域省エネルギービジョンに基づき、池田市と大阪府の合同庁舎では民間資金活用型のESCO事業が展開されている。年間あたり約6000万円かかる合同庁舎の光熱水費とエネルギー双方を効果的に削減する試みだ。
 ESCO事業のしくみとしては、まず事業者が初期投資して庁舎に省エネ型設備を導入、エネルギー効率の改善により浮いた費用はその償却費用に充てられ、さらに浮いた費用は事業者の利益となる。大阪府と池田市にも投資費用が一切かからないというメリットがある。
 合同庁舎については、建物の省エネと光熱費のボリュームが大きいため、ESCO事業が可能となった。冷暖房設備の改善の他に、効率の良い照明への交換工事も進めている。
 池田市と大阪府では、省エネにより削減できた光熱費を、毎年ESCO事業者に返却していく。12年間かけて返す契約を結んでおり、予算的には、債務負担行為として、12年間でこれだけ返却するという予算を組んでいるという。
 また、今年度は、ビジョンの推進事業として運輸・交通部門に焦点を合わせた省エネに取り組むとしている。


●司会より、各自治体共通の課題であったごみ問題に関連して、関係団体と容器リサイクル法改正の働きかけをしていることやエネルギー政策に関してRPS法の改正にも取り組む必要があろうとのまとめがあった。