<特集:地域ぐるみで環境文化都市をめざす〜いいだ会議へのお誘い〜>

長野県の最南端、南アルプスと中央アルプスに抱かれ、環境文化都市をめざし、産業・都市・人づくりを柱に、「環境が文化になるまで」との意識で個性あるまちづくりを進めている飯田市。まちづくりの原点には「自分たちのまちは自分たちで作ろう」という姿勢があります。2004年5月26〜28日に開催される第12回環境自治体会議いいだ会議に先立ち、ここでは開催地である飯田市の特長ある取り組みの一部をご紹介します。会議当日は、ぜひ皆さまご自身で体験を!!(会議の詳細は会員の皆さまには今月中に送付されるほか、以下のWebでもご覧いただけます)

●街のシンボル〜中心市街地にあるりんご並木

 飯田の街の真ん中に、秋には赤いりんごの実のかがやく並木道があります。これは、戦後まもなく市街地の4分の3を焼失した不慮の大火後、防火帯道路の中央に作られた緑地帯に、「自分たちの手で美しい町をつくろう」という地元中学生の発案に基づいて植えられたものです。
 当初、「街の真ん中にりんごの木を植えたって、たちまちその実を盗まれるに決まっているじゃないか」と笑う人もいました。しかし、中学生たちは「美しく赤く実った姿を見れば、誰も手をつけないだろう。いや、誰も手をつけない、そういう都市をつくりたいものだ」・・・こうしてりんご並木の計画は進められていきました。
 都市の中心部にこのようなりんご並木が存在する事例は、全国的にも数多くはありません。飯田市はこれを日本で最初に始め、歴代の中学生たちが管理活動を行い、市民もあたたかく見守り、地域ぐるみで育んできました。
 現在でも、りんご並木を活かした景観形成・まちづくりの取り組みが進められています。並木は、かつての大火復興のシンボルから街のシンボルとなり、幾度もの廃止論争の末、並木の両側の道路を遊歩道園として、車の往来の無い公園内並木として生まれ変わろうとしています。98年に歩行者優先の大きな公園に生まれ変わったりんご並木は、文化が香る中心市街地、魅力的な都市空間の創出をめざす重点プロジェクトでもあり、並木誕生から約50年の歳月が経ち、並木は新しい時代へと入ろうとしています。

●グリーンツーリズムによる農村活性化

 飯田市の大部分は農業に不利な中山間地ですが、その中で地域の自然や文化がどう活かせるのかが考えられ、都市農村交流がそのツールの一つとして利用されています。
 飯田の自然の中で農家と触れ、農産物を生産していくためにどういった苦労をしているかを理解してもらうねらいで、中高生を対象とした体験教育旅行や、年齢層の異なる小学3年〜中学3年が共同生活をしながら様々な体験をしてもらう「南信州子ども体験村」などが実施されています。このほか、農繁期に人手が足りないという農家の声と農業にあこがれる都会の声を結びつけ、ワーキングホリデーをヒントに考えたツーリズム「南信州ワーキングホリデーいいだ」も実施され、昨年は200人を超える応募がありました。
 こうした取り組みの背景としては、夏は涼しい地域であるため大学生の合宿等受け入れの素地もありましたが、集落ごとに農政課・JA・農家で事業実施について話し合いを積み重ねたり、また商工観光課が東京の旅行会社へ営業活動するなど、農家・JA・役所の方の努力の積み重ねがあります。
 また受け入れ側でも、作物を育てる感動を伝えることが出来る人材育成を目的に、農村をまるごとキャンパスとして食・命・環境・地域づくりの座学と実践を行う「南信州あぐり大学院」など、さらなる内容の充実や農村を元気にする取り組みが行われています。

●ISO14001自己適合宣言と地域ぐるみ環境ISO研究会

 自治体での取得が一般化してきたISO14001についても、飯田市は97年に地元事業所と「地域ぐるみ環境ISO研究会」を立ち上げ研究を始め、自治体の中では早い部類に入る00年に認証取得しました。さらに更新時期を迎えた昨年1月、さらなるステップアップをめざし、全国で初めて審査登録機関による認証取得から自己適合宣言方式への移行が実施された自治体として知られています。
 自己適合宣言では信頼性確保のため、内部監査が非常に重要になります。飯田市では3年前から、ISO取得組織が互いに自らのシステムを高めていけるように、研究会メンバーの事業所や県内ネットワークの自治体等と相互内部監査を実施してきました。飯田市の「自己宣言」は、市役所内だけにとどまることなく、地域の事業所へ受け入れられ地域全体の活性化につながらなければ、「ひとりよがりの実験」に終わってしまうとの考えから、移行後の昨年末の監査でも市役所の外から106人もの協力を得て実施されました。
 地域の事業所や他の自治体に支えられ、また、組織内部だけでやるのではなく地域ぐるみでという点が重視されていることも飯田の特色です。

●太陽光発電設置率日本一のまち

 飯田市は太陽光発電の設置率が1.6%(578世帯、H14年度末)で、日本一といわれています。市としては、設置資金について利子補給を実施しています(14年度実績:2700万円)。
 平成8年度に策定された飯田市環境基本計画「21'いいだ環境プラン」では、平成22年度までに太陽光発電施設の普及を全世帯のおよそ30%とすることが目標の一つに掲げられています。また、地域におけるさらなる普及をめざし、今年2月16日には、市民からの出資で太陽光市民発電づくりをめざすNPO「南信州おひさま進歩」が発足しました。いいだ会議でもその取り組みの一環として太陽光発電システムの点灯式を行う予定です。
 また、いいだ会議開催にあたり、太陽光発電システムの生産を行っている地元企業の協力を得、エネルギー分科会での会場提供、工場見学などの企画が予定されています。企業が会場、これも飯田らしさです。