連載〜環境自治体スタンダード(LAS-E(ラスイー))の取組み〜

秋田県二ツ井町と京都府八幡市がLAS-Eに取り組んでおり、それぞれの自治体で監査が実施されました。今回は両自治体の取り組み経過を紹介します。

●二ツ井町における取り組み

 今年1月より、LAS-Eに基づいた環境マネジメントシステムを運用してきた秋田県二ツ井町では、4月に運用開始から3か月が経過し、共通実施項目の監査が実施可能な時期になりました。また、独自目標の前年度実績が把握できていたため、共通実施項目と独自目標の監査を同時に実施し、判定の結果、全国第1号となる合格証が交付されました。

監査の実施〜意見が割れると町民の評価を優先

 二ツ井町でLAS-Eに基づく環境マネジメントシステムを運用している本庁舎内および11の町内公共施設を対象に、今年4月に、共通実施項目と独自目標の監査が同時に実施されました。
 二ツ井町では、ISO14001に取り組んでいた時から内部環境監査員5名のうち2名は町民・事業者でしたが、さらに外部の監査員を増やし10人体制(町民5・行政3・環境自治体会議2)となりました。なお、監査員の半数は女性となっています。効率的に監査を実施するため、町民プラス職員あるいは環境自治体会議スタッフという組み合わせで2人で1チームとし、5チームに分かれて聞き取り調査や現場目視・文書確認などを行い、該当する取り組み項目に対し、達成または実施できていれば○(良好)・△(改善すべき点あり)・×(勧告する必要あり)の3段階で評価し、△/×の項目についてはその理由を所見として記録していきます。
 特筆すべきことは、各チームに町民監査員が含まれる編成としていたこともあり、チームリーダーを町民とし、意見が割れたときは町民の評価が優先されるという取り決めで実施されたことです。
 事前の研修において、環境管理システム事務局と21創造課を対象として、LAS-Eの制度説明や監査実習が実施されていましたが、やはり1日の研修では短かすぎ、そして初めて監査を経験するという方もいらっしゃったため、最初は硬さがとれませんでした。しかし、実施しながらすぐに要領を覚えられ、質問方法を工夫されたり、判断理由等もチーム内でよく相談されたりするなどコミュニケーションも良好でした。また、被監査側である職員も大変協力的かつ誠実な態度で対応されたこともあり、特に大きなトラブルもなく進められました。
 チェックされた点検事項は、実行責任者と一般職員の双方に対して確認する項目もあります。また、共通実施項目の1項目に対して、複数の課や施設が取り組んでいる場合がほとんどです。このため、まず監査を実施した課・施設に対する結果をまとめ、最終日のクロージングミーティングで共通実施項目の項目ごとに、各課・施設の取り組み結果を見ながら、監査員全員で結果を集約しました。

監査の結果〜数値目標は大部分達成

 独自目標については、25の数値目標が設定されていますが、数値の把握状況や、目標値の達成状況は概ね良好でした。未達成の項目は25項目中4項目ありましたが、これらについての原因の究明、対策の検討が適切になされていました。共通実施項目についても、各課や施設で指摘事項はありましたが、全体的には今回監査された3部門23項目の取り組みが概ね適切に実行されていることが確認されました。
 監査を終えた町民監査員からは、「皆さん頑張っているのがわかった」、「自分でもやれることがあると思った」、「消防ではLAS-Eとは別の施設独自の目標が見られた」等、町の取り組みに感心する意見が多く聞かれ、また、オブザーバーとして参加された規格制定委員会の専門家からも「この水準を維持して欲しい」とコメントがあり、町の取り組みが評価されていることが実感されました。これに対し、町長からは「自分でも取り組みたいという発言はありがたい。自発的な広がりが望まれる」と感謝の意が表明されました。

監査結果の判定

 監査当日に集約された監査結果は、二ツ井町の環境管理システム事務局から東京のLAS-E事務局に送付され、5月12日に開催された判定委員会にて、LAS-E規格に準拠しているかどうか討議されました。その結果、申請した第1ステージの3部門すべての類型区分について合格と判定され、また、監査の対象となった二ツ井町の真摯な取り組みの他、住民が行政の隅々まで見て回ったこと、町民監査員が町の取り組みに感心し自分自身も実施してみたいとの感想を抱かれたことも高く評価されました。
 判定の結果を受け5月28日、鹿児島県屋久島で開かれた第11回環境自治体会議・屋久島会議にて、丸岡・二ツ井町長へ全国第1号となる合格証が交付されました。
 なお、二ツ井町ホームページにて、各セクションに対する個別所見などを含む監査結果や判定結果が公開されています。
 町ではさらに第2〜3ステージへのステップアップを目指し、環境政策の推進を図っていく考えです。まず、第2ステージについてはエコアクション部門への挑戦を予定し、運用に向けた検討がなされています。
 なお、03年8月現在、第2ステージの共通実施項目はLAS-E規格制定委員会において素案の検討中で、秋頃に原案が固まってくる見込みです。


●八幡市における取り組み

 八幡市では、03年4月より運用を開始し、5月の内部監査を経て、7月に共通実施項目の監査を実施しました。判定は9月末を予定しています。

運用開始

 八幡市では03年4月1日より、LAS-Eに基づいた独自の環境マネジメントシステムである「八幡市環境マネジメントシステム」の運用を開始しました。電気使用量や温室効果ガスの排出削減など独自の数値目標を設け、市役所の他、幼稚園、小中学校など市内すべての公共施設を対象としています。また、運用に先立ち事務局で「運用の手引き」が作成されました。これは事務取扱要領の他、具体的な取り組み項目や方法を収録したマニュアルです。
 運用初日に実行責任者を対象とした研修を行い、3日目には小中学校を対象とした研修を行いましたが、関係者全員にはなかなか浸透せず実行責任者である課長等の意識の差により取り組みがバラバラでした。そこで、全職員を対象とした研修会、幼稚園や保育園への出前講座、全ての職場で実行責任者(課長等)を講師として、課単位で取り組み内容の確認等の職場研修を実施する等、取り組み内容の周知徹底が図られました。

自主的に内部監査/内部監査の実施

 LAS-Eでは内部監査の規定はありませんが、職員の環境問題に対する意識改革の徹底を図るため、5月に自主的な内部監査が実施されました。内部監査では、事務局(環境保全課)が作成したガイドラインおよびチェックシートを用い、環境マネージャーが監査員となり、全職場を対象に、エコアクション部門とエコマネジメント部門について実施されました。個々の監査結果について○△×の3段階評価を用い、○の個数を100点満点で採点したところ、市全体での平均点は71点、職場別に見ると本庁は良好、出先機関、特に学校はあまり良くなく、出先施設等のエコマネジメント部門については0点のセクションもありました。ただし、出前研修を受けていた学校や施設においては、成績は良好だったようです。部門別に見るとエコアクション部門については平均83点でしたが、エコマネジメント部門は平均59点という結果でした。

市民監査員の増員

 LAS-Eでは、運用開始3か月目以降に市民または事業者を含む監査チームによる共通実施項目についての監査の実施が定められています。市民の関与の拡大という意味もありますが、八幡市では、庁舎内だけで55、さらに実行責任者が複数の施設を兼務して管理しているケースもあるものの約60の出先施設と監査対象が多いため、実務的にも監査員を増員し、いくつかのグループで手分けして監査を実施する方法が想定されました。
 そこで、6月中旬に、環境市民ネットのメンバーにLAS-Eの市民監査員としての参加が依頼されました。環境市民ネットは、市民、事業者、行政が一体となり「八幡市環境基本計画」の実現に向けての自主的活動や、計画の見直し時には市環境審議会に提言などを行うことを目的とし、一般公募の学生や主婦を含む市民8人と市内の事業者や市職員など16人で02年8月に発足した組織です。
 最終的には、従来のエコオフィス計画からの市民監査員3名に、環境市民ネットから8名、ISO14001主任監査員及び環境自治体会議から3名が加わり、部次長らで構成される14名の環境マネージャーも含め28名に増員されました。

監査員研修

 7月には、監査員を対象とした研修を実施しました。市長から監査員の委嘱が行われた後、LAS-EおよびEMSに関するレクチャー、事務局及び環境保全課を対象とした監査実習が行われました。
 監査員メンバーのほとんどの方にとって監査は初めてです。このため、監査項目ごとの質問文例や運用の手引きでの掲載ページ、判断基準例などを収録したチェックシートが準備されました。しかし、実際の監査では、インタビューだけでなく項目によって文書確認や現場目視チェック方法が異なるものもあり、また、人によって判断が分かれやすい場合もあります。そこで実習では、本番さながらに全員が交代でチェックシートに沿ってインタビューと記録を行い、その中で監査実施の流れや項目毎のチェック方法を確認するとともに、「こういうケースでは○△×の判断をどうするか」といった判断基準を統一していくなど、手順や判定の共通認識を作りながら進められました。実習を終え、参加者は監査の流れを概ね理解された様子でした。

共通実施項目監査

 7月17・18・22日と3日間にわたり、監査チームによる共通実施項目の監査が実施されました。市民・事業者と市職員の組み合わせで3〜4人グループにわかれ、手分けして各職場を回りました。
 市民・事業者と職員を組み合わせたグループ編成が功を奏し、市民がわからない点は職員が補い合い、大変良いコンビネーションでした。また、移動中や昼食時等の監査の合間や各日の監査前後のミーティングでもコミュニケーションが良くとれ、監査方法や判定基準のすりあわせ等、事前研修の不足をカバーしていったほか、お互いに普段なかなか聞く機会のない本音を聞けたりしたようでした。そして、3日間でグループ編成を変えたことで、グループを超えた認識の共有ができました。
 他にも監査を実施することにより、職場単位での独自の取組や工夫が発見されたり、マネジメントシステムの取組設定自体の問題点も発見される等の効果がありました。例えば、八幡市では毎月25日にノーマイカーデーの取組が設定されていますが、ある施設では職員の勤務日がローテーション制であるためノーマイカーデーを25日に固定せずに、独自に月2回と回数を決めて実施していることが評価されました。また、この項目に関しては地理的に実施困難な場合も多いことも分かりました。そこで、監査チームから事務局に対して設定自体に無理があると指摘され改善が促されました。
 最終日のクロージングミーティングにて全監査員の合意で監査結果が集約され、報告を受けた環境政策推進本部会議にて次の決定がなされました。
 @チェック表を作成していなかったり、役割を認識していない実行責任者に対して、市長名で文書指導を行う。
 A環境行政の基本である項目で△または×の職場については、その実行責任者に対し、市長名で是正を求める通知を行い、是正後、環境マネージャーによる内部監査を実施する。
 8月には内部監査も実施され、その結果も併せて、判定申請が行われる予定となっています。