連載〜環境自治体スタンダード(LAS-E)の取組み〜

秋田県二ツ井町と京都府八幡市がLAS-Eに取り組んでいます。今回は簡単に八幡市と二ツ井町の取組み経過を紹介します。

1.京都府八幡市の取組

●導入の経緯

八幡市は人口74,277人(2002年10月末日現在)。96年にエコ・オフィス計画策定(01年4月改訂)、01年10月に環境基本計画策定、同年4月には府内12市で初めての「環境自治体宣言」を打ち出すなど環境先進市を目指しています。しかし、これらの取組が十分に浸透しているとは言い難い状況があり、ISO14001認証取得も検討されました。しかし、認証取得の費用対効果や市民参加の難しさといった面から、LAS-Eに基づいた独自のEMS(環境マネジメントシステム)導入に至りました。LAS-Eは試行している自治体と事務局が共同で開発中であるため、03年度は第1ステージの「エコアクション部門・エコマネジメント部門・エコガバナンス部門*1」について挑戦します。

●市民参加で目標設定

前号でも触れたように、昨年10月にLAS-Eの独自目標設定・監査チームの委嘱を行い、4月からのLAS-Eに基づいた独自のEMS運用開始に向けて準備を進めているところです。
 LAS-Eでは独自目標設定・監査チームに市民または事業者が加わることが必須事項となっています。八幡市の場合は、エコオフィス計画で市民監査員を務めていた市民3名(自治連合会会長・環境審議会委員・消費生活モニターOB代表)に加え、市職員・環境自治体会議事務局2名・ISO主任監査員1名で構成されており、さらに八幡市環境市民ネットからの参加を予定しています。EMS構築〜運用段階での市民参加は全国でも先進的な例と言えます。

●庁内でも活発に議論

 また、庁内の体制整備については、要綱・要領が整備されたほか、昨年12月に第1回環境マネージャー会議が開催され、その後も月1回のペースで開催されています。第1回目には、環境政策推進本部長である市長が、LAS-E導入に至った経緯を説明されたほか、自ら率先して取組む意思表示を見せ、「この分野では後発ゆえキラリとひかる取組みを目指したい」、そのため職員に対しても「気負うことなく、しかし後退することなく前進できるよう取り組んで欲しい」との訓示がありました。
 部次長等で構成される環境マネージャーの役割は、主に内部における進行管理(調査・点検〜課長等取組運用の実行責任者への指示・指導〜環境政策推進本部への点検・評価の報告)です。第1回の会議でEMS運用への理解は示されましたが、環境マネージャー会議の位置づけ・権限等の他、独自目標の設定についても意見が出されるなど、当初から予想していたわけではありませんが、EMS構築についての意見交換の場にもなっています。この結果、例えば環境マネージャー会議を環境政策推進本部の下に位置づけたり、独自目標の設定について独自目標設定チームと意見のやりとりができるような機構にするなど、事務局(環境保全課)案の変更が何点かありました。
 庁内でも、担当課だけでなく他の部署からもEMS構築についての意見があります。こうして構築段階で他の部署を巻き込んでいることは、実行面においても各部署の取組・協力が得られることが期待できるため、望ましいのではないかと思われます。以下の図に、八幡市におけるEMS推進体制を示します。

2.秋田県二ツ井町の取組

●取組みの経過

二ツ井町は人口12,600人。2000年3月にISO14001の認証を取得(KPMG)しましたが、03年2月に予定されていたISOの更新を行わず、LAS-Eに基づいた独自のEMSに移行しました。
 既にISO14001に基づいたEMSを運用していたため、そのノウハウを生かし、新システムはISOをベースに構築されています。LAS-Eへの移行にあたり、ISOで実施している項目をどの程度維持するか、あるいは既存の取組みに追加する項目について対応を検討したほか、学校や消防庁舎など他の施設とも協議しながら進められました。
 移行前に環境マネージャー会議で、環境マネージャーおよび施設職員に対してLAS-Eの内容を説明したところ、職員からの意見は好感的でした。03年の仕事始めの日には、町長から新EMSの運用宣言がなされ、環境管理委員会を開催してシステムの概要説明が行われ、多少の課題は残っていたものの、新システムに移行しました。1月中に各課・施設長・環境監査委員を対象とした研修及び独自目標設定委員会が開催されましたが、一部の教育施設での取組みについては、体制の違いから、他の施設とずらして4月からの本格運用を予定しています。
 3月には監査員の委嘱・研修を行い、10名(住民5・行政3・環境自治体会議2)から構成される監査チームが結成されました。住民監査員は監査の経験は初めてで大変な役を引き受けてしまったとなどと言いながらも、真剣に耳を傾け、概ねシステムを理解された様子でした。

●二ツ井町での導入の特徴

 八幡市では独自目標設定チームをシステム試行に先行して結成したのに対し、二ツ井町では共通実施項目に関する検討が先行しました。これは、既にISOの内部監査に町民が監査員として参加している実績があり、そのまま独自目標設定チームを結成できたこと、また独自目標についても目標数値は別にして、従来の目標がその候補になり得たためという2つの背景があります。
 ISOの認証取得・運用の経験から、ある程度基礎文書があったとはいえ、担当者の尽力により、非常に完成度の高く見やすい目標の一覧表や様式文書対応表が整備され、3月に開催された規格制定委員会でも高く評価されました。また、町はISOの取組み水準から質的に低下しないことをねらいとして、従来の環境マネジメントプログラムの多くを継続して実施しています。このため、LAS-Eの申請は第1ステージとしていますが、取組みの中には第1ステージの範疇を超えて上位の類型に属する項目も含まれており、実質的にはオーバースペックの面もあります。
 LAS-Eでは3か月間の試行後にシステムの監査が実施され、その結果が合格であれば、仮合格証が発行されことになっています。現在、監査チームで監査基準を詰めているところで、4月後半にはシステムの監査を実施する予定です。この結果、合格であれば5月の屋久島会議までに仮合格証を取得できることになります。

3.屋久島会議でも紹介されます

 LAS-Eのしくみや、それに基づいたシステムの現状については、5月に開催される屋久島会議の「自治体環境政策スタンダードとマネジメントシステム」と題する分科会にて紹介される予定です。
 分科会では、前述の2自治体の取組みをそれぞれの担当者が報告するほか、専門家やISO主任監査員にもご参加いただき、他の環境マネジメントシステムの動向やLAS-Eとの相違点を踏まえつつ、「環境自治体づくり」に必要な視点・手段などについて議論します。特に、EMSについてお悩みの方、EMSをいかして「環境自治体づくり」に貢献したい自治体の方はぜひご参加ください。

*1) これまでのニュースや資料等では、類型区分をT類A・B・Cと呼んでいましたが、LAS-E規格制定委員会および試行自治体との協議の結果、名称変更されました。
*2)市民、事業者、行政が一体となって、01年10月に策定した「八幡市環境基本計画」の実現に向けての自主的な活動や、計画の見直し時期には市環境審議会に提言などを行う団体。会員は、一般公募の大学生や主婦を含む市民8人と市内の事業者や市職員など16人で構成され、02年8月に発足した。

 文責:環境自治体会議事務局/多比良康彦