岐阜県多治見市の 市民と創る「環境マップ」

 多治見市の環境マップづくりは、市役所からの一方的な情報提供ではなく、市民がいつでもマップに情報を追加できるという特徴をもっています。 多治見市環境課の日比野陽子さんに、取組みのきっかけや現在の利用状況などを解説していただきます。

1.なぜ「環境マップづくり」を行うのか

 多治見市では、平成14年7月2日からGIS(地理情報システム)を使用した「多治見市環境マップ」を公開しています。この環境マップは、平成11年度から13年度にかけて緊急雇用特別対策事業で整備を行いました。しかし、多治見市でもすぐに「環境マップづくり」を決断したわけではありません。
 このようなマップづくりは、全国の多くの自治体で取り組まれています。しかしながら、初版の完成後、財政事情やデータの未収集というような事情により維持・更新が一旦停滞してしまうことを耳にします。その場合、そのマップ情報自体の価値がなくなってしまい、ただ整備しただけで終わってしまいます。

2.多治見市での背景

 それでは、なぜ敢えて多治見市が環境マップづくりを行うこととしたかと言いますと、環境保全に取り組んでいる市民(市民団体)との信頼関係の構築があげられます。
 この数年間に環境保全に取り組んでいる市民の組織化が進み、講師として市が行う子どもたちの魚類調査や鳥の足型とりに参画したり、アドバイザーとしてメダカの棲める水路ビオトープづくりに参画していただきました。その結果、市民と行政の協働作業の機会が増え、信頼関係もさらに強いものになってきました。しかし、多くの時間を費やし協働作業で行なった環境調査もその場限りのものとなってしまい、何か物足りなさを感じていました。

3.市民の情報は財産

 このような状況において、「環境マップづくり」について、以下の点を説明したうえで相談を持ち掛けました。
 @市民が持っている自然環境情報や景観情報は、「多治見の大きな財産」であり、これらの情報を公開することにより市民が多治見の環境を知り、守り・育むという意識が芽生えることを期待し、21世紀の多治見の環境保全のために「環境マップ」づくりを行いたいこと。
 A初版の環境調査や情報収集は、環境保全団体を中心に実施し、公開後は、維持・更新に係る維持費を行政が負担し、維持更新情報の収集(提供)は市民からのものを基本に公開すること。
 B提供された情報の現場検証を市民団体が担っていただきたいこと。
 C環境調査に参加した市民が、多治見の環境に興味や関心を持っていただいたり、子どもたちへの利活用の働きかけにより、多治見の環境を考えてくれる後継者づくりのきっかけとなる可能性があること、など。
 これを受け市民からは、「環境マップ」を開発事業計画時の重要な情報として使用し、自然環境保全に役立ててほしいこと、後継者づくりは重要なことであるという意見が出され、快く引き受けていただきました。
 こうして、「市民と創る環境マップづくり」、言い替えれば、「多治見の環境の歴史づくり」がスタートしました。

4.環境マップの公開から

 公開後、市民からタンポポ調査結果情報、魚類情報、探鳥会情報、ヤモリやキリギリスの画像情報、心の健康ウォーキングコース情報など色々な情報が寄せられています。また、市内小学校3年生が、「総合的な学習」の時間を利用して地域の環境調査に取り組み、昆虫、鳥、植物の調査結果や画像情報を提供してくれています。
 多治見市環境マップに「完成」という言葉はありません。市民から環境情報が寄せられる限り、この環境マップは継続されます。数年後、10年後にどんな環境マップに成長しているのか「楽しみ」にしています。

★多治見市の環境
マップは、多治見市のホームページからご覧いただくことができます。
  http:/www.city.tajimi.gifu.jp/