ISO14001導入効果に関するアンケート結果

0.調査の概要

 この調査は11月16日に滋賀県長浜市にて環境ISO自治体ネットワーク(NEILA)と共同で開催されたNEILAフォーラムでの基礎資料作成のために行われました。

 2001年4月までにISO14001の認証を取得した232の自治体の本庁舎、出先機関などに対し、アンケート調査票を郵送し、郵送またはFAXで回収しました。調査時期は2001年8月〜10月で、配布総数は233(1機関のみ2箇所に配布)、回収数は171(本庁舎123、出先機関48)で、回収率は73.4%でした。

1. ISO認証取得の目的(複数回答)

―7割の組織で率先実行が目的―

 「事業者や市民の環境配慮を促進するための率先実行」が7割の組織であげられ、ついで「職員の意識改革」が6割と回答が多く、都道府県では「対外的アピール」、市町村では「効率的な行政運営」や「トップダウンによる環境政策の推進」が相対的に多くなっています。

 一方、手順の標準化、環境情報公開、組織横断的な環境政策推進の順に回答数が少なくなっていますが、標準化についてはある程度進んでおり、情報公開についてはISOにはEAMS(ヨーロッパの環境管理・監査規則)のような環境監査に関わる環境基準達成目標と実績についての公表義務がないといった理由が考えられます。縦横断的な環境政策の推進は比較的少ないながらも38の組織で目的として挙げられていますが、環境政策の推進にISOを積極的に利用する動きにはいわゆる縦割り行政といった体質の改善の意図も含まれると考えられ、ISOの可能性を見るうえで今後の動向が注目されます。

2. 環境側面抽出・環境影響評価手法の客観性や精度についての満足度

―半数以上が満足〜やや満足―

 有害な環境側面についての環境影響評価手法で56.7%が「満足」ないし「やや満足」、15.2%がやや「不満」ないし「やや不満」と回答しています。これに対し有益な環境側面ではそれぞれ50.3%と18.1%と、評価方法については有害な側面よりも有益な側面の満足感が低くなっています。

 また、クロス集計の結果から人口規模が大きいあるいは認証範囲が本庁者を含まない出先機関の場合に満足感がやや高くなる傾向が見られました。

3. 他のEMSツールとの関係(*1)

―大半の組織で少なくとも相互関係の一部が整理―

 「全てのマネジメントツールの役割や相互関係が十分整理されている」組織は11.1%、逆に「ほとんど整理されていない」組織は6.4%でした。無回答が12.9%でしたが、大部分の組織においてISO以外のEMSツールとの相互関係等について整理されている部分が一部にとどまっている状態です。フリーコメントの回答から、主に環境基本計画や率先実行計画の一部の目標について、実効性を確保するために進行管理のツールとしてISOを用いている組織が多いようです。

 クロス集計の結果をみると、人口三万人未満の自治体に属する組織において、ISO以外のEMSツールを持たない組織の比率が高くなっています。

4. 企業へのEMS支援(*2)

―ISO導入組織の半数が支援を実施―

 企業へのEMS支援をすでに行っていると回答した組織が64組織(50.2%)であるのに対し、「当面予定なし」と回答した組織も42組織(34.1%)存在しています。また、「2・3年のうちに行う予定」と回答した組織は6組織(4.9%)と少なくなっていました。

 支援内容については実施あるいは予定にかかわらず「ISOの取得支援」が圧倒的に多くなっています。ISO取得支援以外の支援策では、「地域独自企画の開発・取得支援」を実施している組織が2、環境省の環境活動評価プログラムの導入支援を行っている組織は0でした。支援方法については講習会・助成/融資・ハンドブック作成が多く、狭山市・飯田市・鯖江市・上越市・東金市などいくつかの組織ではネットワーク構築も挙げられていました。

 ISOを導入し企業へのEMS支援を想定している自治体ではISO取得支援を中心に地域への波及を図り支援を実施していることが読み取れます。

5. 審査登録機関への要望(複数回答)

―審査の質の向上への要望が最も多い―

 審査の質の向上に対する要望が6割、審査費用・規格の解釈・自治体行政への精通がそれぞれについて5割前後の組織で挙げられています。 都道府県・市町村別に見ると、都道府県では規格の解釈、市町村では質の向上についての要望が最も多くなっています。 また、人口規模別のクロス集計からは、規模が小さいほど審査費用に関する要望が多い傾向がありました。

6. ISOの導入効果

―環境を意識した行政運営のしくみづくりで一定の効果―

 この設問では、@環境を意識した行政運営のしくみ作り(環境側面を意識した業務実施など10項目)、A点検・見直しの仕組み確立(環境配慮の定期的・定量的把握など15項目)、B客観的な政策評価システム(施策達成度の判定など7項目)からなり、それぞれの項目について当初期待した効果と実際の効果の有無および導入以前に既に定着していたのも含めてISO以外のしくみによって効果があったかを調査しました。

 当初期待していたか否かにかかわらず、ISOの導入による効果として、規定・手順書に基づいた日常業務実施、環境方針を意識した日常業務実施、事務・事業活動の環境配慮の定量的・定期的把握といった、環境を意識した行政運営のしくみづくりに関連する項目で、7割以上の組織からその成果があげられました。それに対し、環境施策の定期的見直し体制の確立といった体制・責任、見直しに関する効果は4-5割、環境情報の定期的把握や政策評価への効果はわずか1割程度と非常に低くなっています。

 ISO以外のしくみのほうが効果がある、あるいはISO導入以前に既に定着していたとの回答数が多かった項目として、基本的環境特性・地域特性・環境保全関係事業予算の把握、法令の遵守等があります。

 ISO導入に対し、当初期待した効果と実際の効果で比較すると、全体的に当初の導入目的と比べて実際に効果があったとする回答数が少なくなっていました。特に施策達成度や効果性の把握、事業実施や計画立案の際の代替案の比較検討といった、客観的な政策評価システムに関する項目では、当初期待した効果に比べ、実際の効果があったとする回答数は少なくなっています。 (多比良康彦/環境自治体会議事務局)

(*1.2)本庁舎を認証範囲に含む組織に限定して集計

本調査結果のクロス集計表など詳細な内容は「環境ISO自治体ネットワークフォーラム 資料集」(会員には無料で配布)に掲載されております。会員以外でご希望の方は、同封の申込書にて事務局までお申込願います。

問合せ先:jimukyoku@colgei.org