日野市、環境白書を初めて作成

 昨年度、会員自治体の一つである東京都日野市が、環境基本計画の進捗状況等を確認するための環境白書(年次報告書)を初めて作成しました。環境政策研究所はこの白書の作成を支援しました。会員の皆様には情報提供として白書を同封しますが、本欄において、白書の作成過程、及び白書の内容面の特徴について解説します。

■環境白書の作成過程

 白書の作成は2000年12月から始まりました。はじめに、日野市環境保全課が、白書のおおまかな類型や他自治体の白書の内容を参考に、どのような白書をつくるか、内容には何を含めるかについて、環境政策研究所スタッフも含めて検討を行ないました。その結果、日野市の環境状況をいくつかの指標であらわすこと、環境基本計画に示された環境施策の進行状況を明らかにすること、市役所そのものの環境負荷について示すこと、と大きく分けて3部で構成することになりました。

 環境状況及び市役所の環境負荷については、日野市の資料をもとにグラフなど図式化が行なわれ、各指標を評価する文章を環境保全課が執筆しました。環境施策については、環境保全課が市の各部署へのアンケートを行ない、集計(環境基本計画に記載の施策のうち何%が実施されたかというグラフ化)のうえ掲載されました。

■日野市環境白書の特徴

 まず、白書の位置づけとして、白書(年次報告書)が日野市環境基本条例(第18条)に基づいて作成されることとなっており、さらに、審議会、議会への報告が義務づけられていることが大きな特徴として挙げられます。

 これについては、白書を「いやでも作成しなければならないもの」とネガティブにとらえるよりはむしろ、「条例に基づく環境基本計画―施策―事業の運用状況を定期的にモニターする機会」、「環境状況のモニタリングのための予算要求の根拠になる」といったように、環境政策担当部署にとってのプラス材料としてとらえることが可能です。さらに、議会への報告によって、環境政策に関する予算全体への理解が得られることも考えられます。こうしたメリットが実際にあらわれてくるかどうかは、今後の展開を見守る必要がありましょう。

 白書の内容については、ほぼすべてのデータ(環境指標)についてグラフ、図を利用しながら、一目で指標の推移がわかりやすくなるように工夫されています。データは既存の統計資料や『緑の基本計画』等の計画書から抜粋したもの、環境政策研究所が独自に試算したものがあります。後者の例は日野市から排出される二酸化炭素排出量です。これは日野市の二酸化炭素排出者を大きく「産業部門」「民生部門」「運輸部門」に分け、電力、ガス、燃料消費、廃棄物燃焼などを原因とする排出量を推定し、90年からの経年変化(95〜98年)を示したものです(図を参照)。

 さらに、環境状況をあらわすデータだけでなく、環境施策の進捗状況や市役所からの環境負荷など行政の取組が明示されています。これは大阪府豊中市の環境白書にもみられる特徴ですが、日野市の場合は、関係部署への施策の進捗状況アンケートを行なったほか、環境負荷については環境マネジメントシステムに関する情報を援用して掲載したものです。

■成果と課題

 この白書の作成は日野市環境保全課が中心に行ない、市役所の各部署の協力を得て、それを環境政策研究所が支援するという形で行なわれました。

 住民請求によって制定された日野市の環境基本条例(環境自治体会議ニュース第7号、高橋秀行『市民主体の環境政策』公人社等を参照)にうたわれた精神に照らしてみれば、住民ではないNPOと行政との協働にとどまらず、広く日野市民と連携して白書の作成を進めていくことが望まれます。

 具体的には、白書に掲載する環境指標(今回の指標一覧は表を参照)を選定する段階、白書の構成を検討する段階から多くの人の意見を取り入れていくことが今後の課題といえます。

(文責:増原直樹)