環境自治体会議のサポートによるISO14001認証取得
〜秋田県二ツ井町の事例〜

 二ツ井町の環境マネジメントシステムの特徴は、特に@環境方針、A環境側面抽出・影響評価の手法、B内部環境監査体制にあります。ここではそれらについて簡単にご紹介します。

●環境方針に「自然の持つ多面的機能の維持」「環境資源を活用した産業の育成」などを設定

 環境方針は通常資源エネルギーの消費抑制や環境汚染の未然防止といった内容が掲げられ、どこの自治体も似たようなものになってしまうことが多いですが、二ツ井町の場合、これらに加え、「自然の持つ多面的機能の維持」「環境資源を活用した産業の育成」など、二ツ井町の地域特性や町長が常々言っている「緑のフロンティア」の考え方が反映されたものになっています。また、「広域的連携や他自治体との共同の取り組み」という方針も設定されており、環境自治体会議への参加や白神山地保全にむけての周辺自治体との連携を深めることが掲げられています。

●町民意識をもとに環境問題の得点付けを実施、量的評価の基準値(国の数値など)も採用

 ISO14001の規格では、環境側面(エネルギー消費やごみ排出等)を抽出し、その影響の評価を行い、影響の大きいものを著しい環境側面として特定することになっています。その際、エネルギー消費が大気汚染や地球温暖化などの環境問題に及ぼす影響を得点化し、またその消費量に大小に応じて得点化する方法がよく用いられます。二ツ井町では環境問題ごとの得点を、町民アンケート調査で町民が深刻な問題として選択した比率に応じて与えています。またエネルギー消費量やごみの排出量は、国の率先実行計画における全省庁の実績値などを環境自治体会議が基準値として提供し、これで二ツ井町の実績値を割ることによって得点化しています。従来の方法は得点化の根拠が不明確であるとの指摘がありますが、二ツ井町の手法はやや複雑なものの説得力のあるものとなっています。

●内部環境監査員5人のうち3人を外部から採用

 ISO14001の規格では、審査登録機関の審査とは別に、内部環境監査を実施することによって環境マネジメントシステムが機能しているかどうかを点検することが求められています。これまで認証取得した自治体では、職員の中から内部環境監査員を任命することがほとんどですが、二ツ井町では5人の監査員のうち3人まで職員以外から任命しています。すなわち主任内部環境監査員はJACO認定主任内部監査員の資格を持つ環境自治体会議の中口を任命し、他の2名は町民を任命しています。町民や外部専門家の視点から環境マネジメントシステムのチェックを受けることにより、より客観的で緊張感のある監査体制が構築されたといえます。内部環境監査は、半年に1回行うことになっています。

認証取得に至るまでの経過

H11.8.5 キックオフ、全職員対象の研修 (ISOの概要)
H11.8.17、10.22 実行部門の長(課長)に対する研修(環境方針、目的・目標)
H11.11.18-22 実行部門別の全職員対象の研修
H11.12.1 環境マニュアル、要領・要綱制定
H11.12.13 環境マネジメントシステムの試行開始
H12.1.11 環境マニュアル、要領・要綱の改定(第2版)
H12.2.2 内部環境監査員研修(実行部門の長、環境マネージャも出席)
H12.2.7 環境マニュアル、要領・要綱の改定(第3版)
H12.2.14 内部環境監査
H12.2.24 書類審査
H12.3.8 環境マニュアル、要領・要綱の改定(第3.4版)
H12.3.13 環境マネジメントシステムの町長による見直し
H12.3.16-17 登録審査
H12.3.31 審査登録機関の判定会議で認証取得が決定

環境マネジメントプログラム一覧表

環境方針 目的 目標 プログラム 実行部門
環境汚染の未然防止・地球環境保全 CO2排出量の削減 本庁舎ののCO2排出量を平成8-10年平均値より平成14年度までに5.6%削減する (エネルギー消費の抑制に順ずる) 全部門
水質汚濁物質排出の抑制 合併処理浄化槽を毎年130基新設する 事業の確定 町広報・チラシ等による普及啓蒙活動 生活環境課
農薬使用の抑制 農薬散布面積を平成14年度までに現状より縮小する 各関係機関・団体との協議 航空防除面積及びラジコン防除面積の記録 農村活性課
公共工事に伴う周辺環境への配慮 環境に配慮した工事割合を高める 騒音、振動、粉塵、排煙、排気ガスの発生抑制 泥水、汚濁、水の流出防止 土壌・地下水汚染の防止 化学物質による環境汚染の防止 建設課、生活環境課
自然の持つ多面的機能の維持 森林の維持管理 除・間伐等の実施を毎年1,400ha以上実施する 事業の確定 各関係機関、団体との協議 実施区域の台帳整備 産業振興課
傾斜地水田の保全 傾斜地水田補助面積を平成12年度以降68haとする 事業の確定 各関係機関・団体との協議 補助金の給付・管理台帳の整備 農村活性課
公共工事に伴う自然環境への配慮 環境に配慮した工事割合を高める 自然環境や生態系に与える影響の抑制 自然環境や生態系の復元・創造 施設の緑化 建設課、生活環境課
環境資源を活用した産業の育成 森林に対する理解の推進 秋田杉の里二ツ井まつり参加者数を平成14年度までに毎年2万人を達成する 事業の確定 実行委員会組織の結成、事業計画等の作成 各協力団体との協議 産業振興課
郷土の森における自然学習を推進する 事業の確定 事業計画の作成 郷土の森の維持管理・来訪者の把握 産業振興課
木材(間伐材・端材・廃材等)の有効利用 公共工事における木材の有効利用を促進する 地元産の木材の利用、間伐材や端材、流木等の利用、施設の緑化、建築物等の解体に伴う廃材等の利用、熱帯材工事用型枠の不使用 建設課、生活環境課
快適な生活環境の創造 自然とのふれあいの場の提供 きみまち阪公園、桜づつみ公園利用者数を平成14年度までに8万5千人とする 事業の確定 公園の維持管理 21創造課
清らかな水の流れの維持 合併処理浄化槽を毎年130基新設する(再掲) 事業の確定 町広報・チラシ等による普及啓蒙活動 生活環境課
自立・循環型の地域づくりおよび率先行動 再生紙の使用 外注用紙類の再生紙使用率を平成14年度までに41%とする 再生紙購入の励行 全部門
事務用紙使用の削減 事務用紙使用量を平成10年度実績から平成14年度までに5%減らす 両面コピー印刷の徹底 裏紙の利用 印刷配布物の精査 ミスコピーのメモ用紙転用の励行 全部門
庁内廃棄物の削減 廃棄物排出量を平成10年度実績から平成14年度までに25%減らす 分別の徹底と資源化推進 全部門
庁内廃棄物の分別徹底 廃棄物資源化率平成14年度までに70%とする    
公共工事における資源有効利用 道路改良工事における再生資源利用率を平成14年度までに7%とする 骨材類・アスファルト類の再生資源の活用 建設課、生活環境課
グリーン購入の徹底 グリーン購入率を平成14年度までに5%とする 一般共通物品のグリーン商品購入、各課購入物品のグリーン商品購入 全部門
エネルギー使用の抑制 電気使用量を平成8-10年平均値より平成14年度までに5%削減する 昼休み時の事務室照明の消灯励行 各種OA機器の未使用時のOFF徹底 残業時の不用な照明の消灯の励行 稼働時外の冷暖房ファンスイッチのOFF徹底 窓の開閉・ブラインド等の活用による室温管理徹底 全部門
灯油使用量を平成8-10年平均値より平成14年度までに5%削減する    
公用車使用に伴うガソリン・軽油使用量を平成8-10年平均値より平成14年度までに3.5%削減する アイドリングストップの徹底、近距離の使用抑制、低公害車の導入検討 全部門
町全体の廃棄物の削減・リサイクル化の推進 ゴミの減量・分別の徹底を図る 事業の確定 指定ゴミ袋収集による分別・減量・リサイクル徹底 町広報・チラシ等による啓蒙活動 生活環境課
自転車のまちづくりの推進 共用自転車を平成14年度までに250台導入する 事業の確定 共用自転車の維持管理及び増車、自転車利用キャンペーン 駐輪場の確保 生活環境課
駐輪場を平成14年度までに10ヶ所設置する    
自転車道総延長を平成14年度までに1777mとする 事業の確定 計画的な自転車道の整備 各関係機関との協議 建設課
広域的連携や他自治体との共同の取り組み 環境自治体づくりにむけての協働 環境自治体会議への参加や白神山地保全にむけての周辺自治体との連携を深める 環境自治体会議の専門委員会への参加、能代市山本郡広域圏組合における白神山地保全にむけた活動 全部門

(中口毅博/環境自治体会議環境政策研究所)