自転車のまちづくり委員会報告

 10月25日、都内にて第3回自転車のまちづくり専門委員会が開催された。委員である自治体が実証実験の進展状況を報告し、学識経験者、省庁担当者、国内で自転車のまちづくりを進める他自治体とが一同に会し、自転車のまちづくりを実現するにあたっての課題と論点を明らかにした。

 はじめに、欧州2カ国における自転車のまちづくりの事例が紹介された。

 大村座長からは、ドイツのノルトライン・ヴェストファーレン州(以下、NW州)におけるプログラム、「自転車にやさしい市町村(1989)」に関する紹介があった。プログラムの目標は、自転車交通施設整備へ積極的に資源を投入することで、自転車利用を促進すると同時に、自動車の抑制、公共交通との連携、環境への配慮などが一体化した総合交通政策を進めること。

 続いて山川委員より、オランダにおける自転車利用計画の報告があった。自転車マスタープラン(1992)では、自動車から自転車へのさらなる転換を図るため、インフラ整備による所要時間の短縮化、公共交通へのアクセスの改善等が謳われている。

 秋田県二ツ井町からは現在の進捗状況の報告がなされた。二ツ井町は、今夏に自転車レーン仮設、自動車の一方通行化などの実証実験を行なう予定であったが、道路交通法に基づく煩雑な事務・申請手続き等の事情により、今回は見送らざるを得なかった。今後は、建設省の自転車道モデル都市事業に応募するなどハード面での整備も含め、計画の実現に向けて取り組んでいく予定。

 古河市からは小久保忠男市長が委員会に初めて参加。昨年の古河会議で好評だった共用自転車の仕組みづくりについて、観光客向け郊外パークアンドライド拠点の整備や、市民向けに駅中心のIDカード/デポジットシステムを利用した共有・共用自転車システムの整備構想について言及された。

 次に西田委員から、自転車のまちづくりを総合的に推進する仕組みについての課題が挙げられた。また、現時点における実証実験の障害となるものとして、道路交通管理者である警察との合意が形成できないこと、また担当者が理解を示しても、手続き上のマニュアルが煩雑かつ厳格であることが示され、地域レベルでの協議機関の整備など、社会実験の意義を伝える場を創り出すことが必要だとの指摘がなされた。

 また今回は、東京都日野市と板橋区、長崎県加世田市も参加。日野市からは電動アシストを使用した通勤用共用サイクルシステムの構想が、板橋区からは、豊島区と合同で行われた「自転車の走るまちづくり」シンポジウムの報告が寄せられた。加世田市では、平成7年に「サイクルシティかせだ」を誓言以来、「サイクルシティかせだ推進協議会」を設立し、吹上浜砂丘自転車道の整備、「サイクリンピックinかせだ」の開催等、まちづくりに積極的に自転車を取り入れている事例が紹介された。

 これらの活動報告に対して、各省庁からのコメントは以下の通り。建設省は現在、モデル都市の追加公募中で(10月現在)、11月末には選定を終える予定。運輸省は、昨年度から引き続き鉄道への自転車持ち込みモデル事業を実施、今後は都市部においてのモデル事業を検討している。通産省は産業振興の観点から5つのモデル地域を指定、計画づくりとハード面での施設建設を支援している。環境庁からは、神戸製鋼高砂工場におけるマイカー通勤者を対象としたレンタサイクル利用実験事業等の説明がなされた。総務庁は所用による途中退席のため、コメントがなかった。

 自転車関連のモデル事業は、各省庁がそれぞれ行っており、担当者によると横の連携は特になされていないとのこと。今後、本委員会などを利用して、各地の自転車のまちづくり情報を共有化し、制度的にリンクできる仕組みがつくれないかという課題が残った。

 自治体以外には、(タクシー用)自転車搭載キャリアを開発した、インターサイクル(株)が参加。自転車利用の弱点をサポートすることで、マイカーから自転車通勤への受け皿を用意した事例が報告された。イ社開発の自転車搭載キャリアは、34都道府県、74のタクシー会社に採用されているとのこと。また、自転車産業振興協会の堤氏、アトリエUDIの望月氏からはそれぞれ、欧州で盛んなノーカーデー(街では、車を使わない日)についての報告がなされた(詳細については、Earthday News P.2〜5参照)。最後に事務局から、国内での「クルマのない日」構想の概要が説明された。現在、渋谷区、東京都、アースデイの三者において協議中だが、こうした試みと自転車のまちづくりとをリンクさせることの重要性を指摘した。

 次回委員会は、2月開催の予定。

(文責/事務局 竹下涼子)