連載「エネルギー政策の現場から」

エネルギー政策から描く 自治の未来像

〜滋賀県野洲町政策推進室 遠藤由隆〜

 滋賀県野洲町の遠藤です。お元気ですか。 さて、5月末に行われました環境自治体会議は、環境自治体事務局をはじめ、みなさんのおかげをもちまして、成功裡のうちに終了することができました。大変ありがとうございました。また、お互いの成果を持ちよって、みなさんとお会いできるのを楽しみにしています。

◆地域と環境にこだわる研究会が発足

ECOLOCAL YASU.COMの元の名称は、環境政策研究会(任意団体)。メンバーは、建築設計業、農業、太陽光発電設置業、プロバイダー業等の経営者です。「環境へのこだわり」や「地域へのこだわり」をという経営理念を通して有機的、自然発生的に生まれた団体です。活動内容は、「未来に責任ある企業活動・地域貢献」として環境を軸に各業の分野をどう生かすか、また連携してできることは何かなど「環境と経済の両立」「環境コミュニティの形成」「企業の地域貢献」について研究されていました。このことは、野洲町の政策形成に深い関わりがあることから、私もよくこの会議に呼ばれ、共に議論を積み重ねてきたところです。

こうしたなかで、野洲町が平成11年に「新エネルギービジョン」に着手したことから、この団体を自然エネルギーの普及促進部会として位置づけ議論していただくことになりました。この部会では、いままでの研究の成果を生かすものとして「地域住民自らが主体的に参加できる仕組みづくり」を検討するということになりました。行政要求型からの脱却、好き寄り・善意イメージからの脱却、経済性の追求…。つまり、住民・行政が協働しながらつくる地域資源・経済循環型社会の構築をめざす仕組みづくりです。

その第一弾が、地域の太陽光エネルギーや間伐材の利用を進める「エコ SUN 山 プロジェクト」(下図参照)。行政主導でエネルギー政策を進めるのではなく、地域住民自らの意思でエネルギー政策を推進していくためのしくみをつくること、そしてそのしくみの中枢に地域通貨を位置付けることによって、コミュニティをより豊かに活性化させることを狙いとする、前代未聞の取り組みです。

エコSUN山プロジェクト

◆地域通貨をツールに「地域住民の手で太陽光発電を広げよう」の巻

(概要)
公共施設を活用した太陽光発電の普及を目的に、一口10,000円の寄付を募り、一口あたり11,000円分の地域通貨(NPOが発行)と交換。
 NPOは、この出資金が一定額になれば、太陽光発電設備を設置し、行政に寄付する(売電分は行政)。
*地域通貨(1口110smile:1smile=100円相当)

[point]

  • 共同出資による投資額の低額化
  • 寄付金と公共施設利用券の交換による投資回収年数の短縮化
  • 寄付金の1割増の公共施設利用券による経済的インセンティブ

◆山のめぐみを生かして「地域住民の手で里山を管理しよう」の巻き

(概要)
「地域住民で地域の里山を守る」ということを目的に、地域住民を中心に里山管理活動者を募集。そして、NPOと山林保有者(生産森林組合等)がその管理場所・内容及び活動報酬について、その都度協議し、それに基づいて間伐・炭焼き・下草刈り・きのこ栽培等を実施する。
*活動報酬
たとえば、間伐10本したらそのうちの間伐材1本が活動者の所有となる。(木をしいたけ等に交換可能であり、いずれにしても山のめぐみで支払う)

[point]

  • 森林保全の課題である人手不足に対応
  • 未活用資源の活用による地域での資源、経済循環の促進
  • 里山管理活動者への報酬による継続性の確保

 

◆しくみを動かすのは住民、NPO、行政

この取り組みを考えるとどうしても、このしくみを動かすための住民と行政との橋渡し役が必要になってきます。するとこの団体、「ほな、つくるわ」と簡単にNPO化に向けて始動。ここでは「簡単に」、という表現になるのですが、この段階にくる途上で、喧嘩別れしそうな場面もたくさんあって、そこでの徹底議論が実は一番の「みそ」。果たして、平成13年2月に「ECOLOCAL YASU.COM」の法人格取得となりました。めでたし、めでたし、というところです。以後、住民活動メンバーを増やしたり、他団体との連携など、法人化後の方が圧倒的に忙しそうですが…。

このNPOが目指すのは、前述した「地域資源・経済循環型社会の構築」。この地域の資源をエネルギーの軸で再評価し、その資源をできる限り経済に乗せてとことん生かす仕組みをつくっていくことです。

平成7年から始まった野洲町のCI戦略、“住民自らつくる町”「ほほえみ やすちょう」の「静かなる革命」がエネルギーの分野でも稼動してきたことを本当に感動しています。地域活力の原動力である住民の力に敬意を表し、共にますます発展していければと願っているところです。

 なお、今回の仕組みの具体的な稼動は、もうすぐというところまで来ています。それまでに修正する可能性もありますので、悪しからずご了承ください。